Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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「みのり様の名前まで出すなんて。

太一、早く、この男から離れなさい！」


　節子が苛立ちを募らせたような声をあらげ、

吊り上げた目を向けてくる。

太一は見たことのない祖母の形相に身を竦ませた。

ふいに目の前が陰る。涼介が祖母との間に進み出てくれたようだ。


「待ってください！

今回のことは僕の落ち度ですが太一君はこれからも僕らにとって

必要不可欠な存在なんです！」


　青年の背中によって節子から睨みつけるような視線が遮られた。

祖母のキツイ眼差しから逃れることができ、

太一はホッと小さく息を吐き出す。

それと同時に祖母や母を説得しようと必死になってくれている

涼介に対し、申し訳ない気持ちになった。


（ぼくがばぁちゃんのために黄金梅を咲かせたいって言ったから……）


　涙がじわりと滲んでくる。

太一はギュっ唇を噛んで、泣きたい気持ちを抑え込んだ。

しかしいくら涼介が説明を繰り返しても祖母たちの耳にはもちろんのこと、

心にも届いていないようだった。