Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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「太一、ほら、何してるの」


　動こうとしない自分に業を煮やしたのか、

節子がグイッと腕を掴んでくる。太一は痛みに顔をしかめた。


「ばぁちゃん、痛いよ……

それにお兄ちゃんは悪い人なんかじゃないよ」


　だが、その声はか細く弱弱しい声で祖母の耳にまで届かなったようだ。

怒りが収まらないといった様子で金切り声をあげ、母を見た。


「一美さん、塩をまいてちょうだい！

あと警察、早く警察に連絡してちょうだい！」

「お義母さん、退院したばかりですから

あんまり興奮なさらないでください」


　頭から湯気が出るのではないかというくらい顔を真っ赤にさせている

節子をなだめるように、一美が優しく背中をなでる。

しかし、その表情は厳しく母も祖母と同じ気持ちなのだろう。

非難するようなまなざしで涼介を睨みつけていた。


（どうしてぼくのせいなのにお兄ちゃんばっかりが怒られるんだよ！）


　今まで一方的に叱られたことなどなかった。

どんなときだって自分の言い分をちゃんと聞いてくれたし、

その言い分が納得できるものなら怒ることだってやめてくれた。

それなのに今回に限ってはまったく違う。

太一には母と祖母の行動がさっぱり理解できなかった。