Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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　太一から見れば、これは自分の問題なのだろう。

それは確かに間違いではない。

太一は太一なりの考えをきちんと両親と祖母に伝えなければならないのだから。

（この子はそれをきちんとわかっているんだな）

　やはり年の割にしっかりした子だ。

しかし、だからと言ってあまりにも重い問題なだけに、

下手に関わらせていいものか悩むところではある。

涼介はしばし黙考し、一つの提案を思いついた。

『うーん……。

あ、それじゃあ、律子さん、翔君のおばさんに連絡とってもらえないかな？』

　野木崎をこの場に巻き込むことには少し勇気がいった。

翔のことを知っているだけにこれ以上巻き込むことがためらわれた。

（翔君、今回のことでも相当心配してるだろうしな……）

　母親が突然いなくなり帰ってこなかったのだ。

相当不安な一日を過ごしたに違いない。

だが、それでも野木崎に頼む以外に方法もなかった。

（あの伝承をあれだけくわしく知っていたものな）

　彼女の様子からして、獣人に対して嫌悪感を持っているようには思えない。

むしろ肯定的な人間なのでは、とさえ感じる。

そんな野木崎が味方についていてくれたなら、

少しはこの状況も良くなるのではないだろうか。

太一からのメールを待つ内に悶々と考えていると、着信が鳴った。

『カケルに？　おばちゃんに助けてもらうってこと？　なんて書けばいいかな？

　 ママが怒ってお兄ちゃんを追い出しちゃったから助けてって書いたらわかるかな？』

　太一の文章に涼介はすぐさま答える。

『うん。最初に「黄金梅のことを言ったら」っていうのをつけたしておいてくれるかな？　

それでたぶんわかってもらえると思うんだ』

　急いで送ると、間髪入れずに了承のメールがきた。