Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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『わかった。ちょっと待ってて』

『うん。ふがいなくて申し訳ないけど、お願いするよ』

　太一の言葉に重ねて返信すると、しばらく着信音が遠のいた。

涼介は昇り始めた月をぼんやりと眺める。

（俺にはこんな役回りは向いてないんだけどなあ）

　内心でぼやいてみるも、誰かから返答があるわけでもない。

雅秋に連絡しておいたほうがいいだろうか、と考え、その手をとめる。

（今はそんな気分にはなれない）

　優秀な兄ならどんなことも軽く片づけてしまうのだろうが、自分は違う。

自他ともに認めるぼんくらな自分がなぜみのりの見合い相手になったのだろう。

考えれば考えるほどその意図がわからず、涼介はふと息を吐いた。

（しんどいなあ……）

　みのりに会いたいな、と唐突に思った。

喧嘩でもなんでもかまわないから、あの声が聴きたい。

（困ったなあ……）

　溜め息を吐いていると、着信が入った。

『お兄ちゃん、カケルがお兄ちゃんのメアドをおばちゃんに教えれば

話が早いっていうんだけど、お兄ちゃんのメアドおばちゃんに教えてもいい？』

　太一の文章に涼介はもちろん、と応じる。

『直接連絡もらえたらありがたいよ』

『わかった。ちょっと待ってて』

『うん。よろしく』

　なるべく明るく見えるようスタンプとともに返信して待つことしばし、

野木崎からメールが届いた。