Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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『お兄ちゃん、おはよう。もしかしてお兄ちゃん、うちの前にいる？

ママが今日は一歩も外に出さないって、

学校も休みなさいって言うんだ。

それで一晩中いたのかなって言ってたんだけど嘘だよね？』


　太一は逸る気持ちを必死で抑えながら文字を打つ。

返信が来るのを今か今かと待ちながら部屋の中をぐるぐると歩き回る。


（うう、ちょっと目が回っちゃったかも……）


　ふらふらとベッドへ腰を下ろすと、

握りしめていた手のひらから受信音が鳴りだした。


『おはよう。よく眠れたかい？　あー残念ながら本当だよ。

お母さんに警戒されちゃったのか。迷惑かけてごめんよ』


　届いた涼介からの返事に目を見開く。

大人は睡眠時間が少なくても大丈夫だと聞いたことがあるが、

さすがに一睡もしないのはつらいだろう。

太一は涼介の体が心配になり、すぐさま返事を送った。


『え！　本当なの！　まだ朝の７時だよ！

ぼくはちゃんと眠れたけどお兄ちゃんは寝てないの？　大丈夫？』

『大丈夫だよ。ちょっと眠いけどね』


　返ってきた青年の言葉にホッと胸をなでおろす。


「太一？　なんで部屋に戻っちゃうの、ご飯よー」


　階下から聞こえてきた一美の声にドキッと心臓が脈打つ。


『それならいいんだけど……あ、ママが呼んでるから行かなくっちゃ！

お兄ちゃん、ごめんね。またあとでメールするから』

『ああ。ありがとう、太一君』


　早く下へ行かないと母親が２階にあがってきてしまうかもしれない。

太一は涼介からの返事に頬を緩ませながら、部屋を出た。