Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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「ばぁちゃん本当だよ。

ばぁちゃんからもらった種を植えたら虫が出て、

それを追いかけたらお兄ちゃんと会ったんだもん」


　太一は、目線を下げたまま見ようとしてこない祖母へ向かって

必死に話しかける。

しかし、節子は唇を一文字にしたまま微動だにしない。

どうして何も言ってくれないのだろう。

今までだったらどんな話でも楽しそうに

相槌を打っていてくれていたのに。

太一は、祖母のかたくなな態度に唇を噛んだ。

そんな自分を勇気づけるかのように涼介が再び口を開く。


「梅八家には

『梅の実に導かれし者ども、意志を同じくせし時、願いが叶う』

という言い伝えがあります。

太一君もその一人なのではないかと僕は考えています」


　大人の低く柔らかい声で語られる言葉に

じっと耳をかたむけていると、正面からため息を吐く音が

聞こえてきた。


「虫なんてただの偶然でしょう。

太一はその男にだまされているのよ」


　呆れたといわんばかりに言い募る節子の言葉に

太一は胸が痛んだ。