Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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　太一の祖母は頑なで、辛そうな顔をしていた。

（お祖母様を思いだすな……）

　厳しい人だった。

同時に、いつも悲しい顔をしていた。

あの人を笑わせたいと願ったこともある。

だが、それは最期まで叶うことなく終わってしまった。

（彼女もたぶん同じなんだろう）

　おそらくこれ以上事情を探ることは、太一の祖母にとって暴力行為に等しい。

　だが涼介は、あえて断固とした口調を装った。

「いいえ。あれは間違いなく黄金梅の種でした。

それに、黄金梅の種が今この時に集まり、さらなる段階へ導こうとしている。

それには何か意味があると思うんです。

おそらく、僕たちはなんらかの変化を受け入れなくてはならないのではないか、と」

　みのりが言うように、変化が必要なのだ。

自分たちは変わらなければならない。

種を見つけることで、その結果黄金梅がなくなってしまうとしても。

自分と違う他者を、外の空気を、

受け入れなくてはならない時が来ているのだろう。

（俺はお祖母様の悲しみがどこから来ているのかはわからず終いだったけど……）

　涼介は深く息を吐きだす。

自分と祖母との間には何も生みだすことはできなかった。

だが、太一と太一の祖母は違う。

心も自分たちよりもずっと通い合っている。

少しでも互いの想いと悲しい誤解を解くことができたなら、

太一の祖母の世界も少しは優しいものになってくれるかもしれない。

決意を新たに顔をあげると、太一の母が首をかしげた。