Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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　自宅を出たあと太一たちは一路、涼介の通う大学へと向かった。


「なんだろう？」


　廊下を歩く涼介のあとをキョロキョロしながらついて行くと、

目の前にあった青年の大きな背中が横にそれる。


「野球サークルかな？」


　大きな窓から見下ろしながら外を眺める涼介の言葉に、

太一は飛びついた。


「野球！　大学生も野球やるの？　どれどれー」


　少し背伸びをしながら下をのぞく。

眼下に広がる見慣れた光景に自然と頬が緩む。

２ストライク、２アウト満塁。

打者が打てばサヨナラホームランで逆転勝ち、

打てなければ試合終了の最終局面だ。

両チームの白熱する声援に、太一はわくわくさせた。


「そうか。太一君は野球好きだったよね」

「うん。あれ？　あれってもしかして初等部？」


　太一は視線を涼介へ向けようとしたときに捉えた建物を指差す。

長く続いていた下り坂が中断した場所に大きな木々と

緑のフェンスで囲まれている校庭とそのそばにある建造物に

見覚えがあった。


「ん？　どれどれ？　そうそう。あれは初等部だよ」


　にこりと笑みを浮かべながら肯定してくる涼介に、

律子が近づいてきた。