Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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「あら、本当だわ。

高等部だけが見えるのかと思っていたけど全体が見えるのね」


　航空写真を見ているみたい、と律子から感嘆の声が漏れてくる。

彼女の言うとおりここからは初等部や幼等部のみならず、

中等部、高等部といった学園すべてが一望できた。


「ここは学園の一番てっぺんなので。歩くのつかれませんでしたか？」


　気遣うような素振りを見せる涼介に、

両ふくろはぎをさすりながら律子が嘆く。


「こんなのへっちゃらよ！　と言いたいところだけど、

さすがに疲れたわ。なんなのあの急坂！

まだ午前中だって言うのに足がパンパンよ」

「本当にご迷惑ばかりおかけしてすみません。

あとでおいしい羊羹ごちそうしますから」


　文句を言う律子へ涼介が申し訳なさそうに眉を下げる。

しかし、青年が悪いわけではないということは

律子もわかっているのだろう。


「はぁ。疲労回復には甘い物が一番よね。楽しみにしてるわ」


　律子は苦笑しながら涼介の肩をポンッと叩くと、歩き始めた。