Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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　冴島が抜けそうにないほどびっしり入っている本棚の前で

本を抜いては入れ直すといった作業を繰り返す。

しかし目当てのものは中々みつからないようだ。

襟足を撫でながら自席へと戻ると、

今度は机の上に積み重なっている本を手当たり次第引っぱり始めた。


（見つかるのかな？）


　大学の先生というからにはこの部屋の中にある本をすべて

読んではいるのだろう。

しかしこれだけの本の中から目当てのものを探し出すのは

無理なのではないだろうか。

太一はどうすればいいかわからず、涼介へ視線をやる。

だが、青年へ話しかける前に冴島がポンッと手を叩き、

再び本棚へ足を向けた。

そして数冊、本の出し入れを繰り返し、

ようやくお目当てのものが見つかったらしい。


「あーあったあった」


　冴島が本を片手に額の汗を拭いながらふーっと息を吐き出し、

満面の笑みを向けてくる。涼介がそれに応えた。


「あ、見つかりましたか。よかった」


　冴島の手伝いをするつもりだったのだろう。

椅子から立ち上がろうと中腰のままでいた涼介が座り直した。