Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


�I�I�@

「昆虫や植物ともなんて！

それじゃ、うちの子ともお話ができるのね、うらやましいわ」

　野木崎がうっとりとした目で虚空を眺める。

（うちの子って？

翔君のことかな？　話ができるってどういう意味なんだ？）

　涼介は野木崎の呟きに目を瞬かせる。

なべて常識人の野木崎だが、時々謎めいた言葉を発するので戸惑う。

（あれかな？　思春期に入り始めてるってことかな？）

　自分の場合は反抗期があったようななかったようなものなのでよくわからない。

どこか恍惚をした表情の野木崎を眺めながら、涼介は頭をかく。

（うーん……。もしかして結構本気に取られてる？）

　たまに妙な方向へ意識を飛ばすところのある人だったのを思いだした。

（まあ、妄想だろうから問題ないだろうけど）

　だが、あまり夢を持たれても困る。

「あの、野木崎さん……。昔話ですから……」

　一応言葉を細くすると、夢見心地らしかった野木崎が目を見開いた。

「へ？　あらやだ、オホホホホ」

　やはり幻想の世界へ行っていたのかもしれない。

苦笑していると、太一が丸山へ向かい身を乗りだした。