Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
IF
「雪姫が止まってって」
紅の言葉にみのりが辺りを見回す。
「もう真ん中に来てたのね……」
気のない返事をするみのりを前に、太一が袖を引いてきた。
「みのり様どうしちゃったのかな?」
「わからない……」
やはり太一もみのりの変化に気づいているらしい。
だが、今の自分には少年の問いに答える術もない。
涼介はゆるゆるとかぶりを振りつつ、自らの不甲斐なさに臍を噛んだ。
「ここで降ろすマロ!」
橋の中央で雪姫の声がする。
「え? ここで? ……わかったわ」
掌サイズの存在だというのに、無視できないほどの覇気だ。
みのりが戸惑いつつ雪姫を降ろす。
「降ろしたら何か始まるのかしら?」
期待を含んだ声音で尋ねる野木崎に答える者はなく。
黙って成り行きを見守っていると、いきなり山波から肘を突かれた。
「おい、みのり様についてなくていいのか?」
「そうだよ。お兄ちゃん! みのり様のそばにいてあげなきゃ!」
焚き付けてくる山波に太一が乗る。
2人とも悪気はないのだろうが、間に受けるわけにはいかない。
「せっかくのチャンスを邪魔しちゃ悪いので」
私情を優先した結果がさっきの失敗なのだから。
微苦笑で山波に答えると、山波が露骨に眉根を寄せる。
「はん? なんだそりゃ」
意味がわからない、といった体で
山波さらに何事か口を開いた時、後方から声がした。
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