Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IF




「雪姫が止まってって」


 紅の言葉にみのりが辺りを見回す。


「もう真ん中に来てたのね……」


 気のない返事をするみのりを前に、太一が袖を引いてきた。


「みのり様どうしちゃったのかな?」

「わからない……」


 やはり太一もみのりの変化に気づいているらしい。

だが、今の自分には少年の問いに答える術もない。

涼介はゆるゆるとかぶりを振りつつ、自らの不甲斐なさに臍を噛んだ。


「ここで降ろすマロ!」


 橋の中央で雪姫の声がする。


「え? ここで? ……わかったわ」


 掌サイズの存在だというのに、無視できないほどの覇気だ。

みのりが戸惑いつつ雪姫を降ろす。


「降ろしたら何か始まるのかしら?」


 期待を含んだ声音で尋ねる野木崎に答える者はなく。

黙って成り行きを見守っていると、いきなり山波から肘を突かれた。


「おい、みのり様についてなくていいのか?」

「そうだよ。お兄ちゃん! みのり様のそばにいてあげなきゃ!」


 焚き付けてくる山波に太一が乗る。

2人とも悪気はないのだろうが、間に受けるわけにはいかない。


「せっかくのチャンスを邪魔しちゃ悪いので」


 私情を優先した結果がさっきの失敗なのだから。

微苦笑で山波に答えると、山波が露骨に眉根を寄せる。


「はん? なんだそりゃ」


 意味がわからない、といった体で

山波さらに何事か口を開いた時、後方から声がした。










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