Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IG




「おい、そこの女! その手に持ってる物をここへ置くマロ」


 雪姫が指を差す。

指の先にいたのは野木崎で、呼ばれた彼女は目をしばたたかせる。


「え? これを? わかりました」


 野木崎が頷き、すぐにかき氷器を置く。

その途端、両端の川の水が渦を巻き始めた。


「渦が!」

「なんで急に……」


 目を瞠り叫ぶと、いつの間にか横に来ていたみのりが小さくと呟く。


「やっぱりどうにかなりそうね」


 嬉しそうに告げたのは野木崎で、同じく朗らかな笑みで小越が答える。


「そうみたいですね!」


 野木崎へ笑いかける小越を尻目に、涼介はみのりへ視線を走らせた。

みのりは欄干の前で頼りなさげに腕を組んでいる。

(そんなふうに、たった一人で立つしかない、なんてふうに思わないでくれよ!)


 たとえ碧への想いに苛まれているのだとしても、自分は最後までみのりの味方だ。


「みのりさん、そこにいると危ない。こっちへ」


 涼介は一人佇むみのりの腕を三度強引に引き寄せた。










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