Gold Plum

第五章


自覚


〜みのり＆涼介の場合〜


五


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「なんだ主らそんなに目を丸くして、取れてしまいそうだぞ？」


　誰もが呆然と佇む中、雪姫が不思議そうに首をかしげる。


「え、え、いや、ええと、すみません。つい……」


　涼介は慌ててかぶりを振る。

横のほうで突然がさっと音がした。


「ゆ、雪姫さま〜！！」


　見ると山波が腰を深々と折り、額を擦りつけている。


（見事な土下座だなあ）


　妙なところに感心していると、みのりが紅の腕を取った。


「紅、いつまでそうしてるの！　ほら立って」

「え、お嬢さま？　え、だって、あれ？」


　紅が珍しく戸惑ったような表情を見せる。

ああいう顔もするのか。

自分には敵意を向けてくる紅がなんだか可愛らしく思え、

涼介はくすりとする。

一方何も見えていない様子の飛田がさらに困惑げに辺りを見回した。


「ん？　ん？　え？　雪姫様？」


　山波の行為にも戸惑っているらしい。

説明しておいたほうがいいだろうか、と考えていると、

太一が驚いたように山波へ尋ねた。


「うわっ！　おじちゃん急にどうしたの？」


　だが、返答はない。


「雪姫様……」


　皆が軽い混乱状態にある中で、

平頭する山波を見ていた芽衣子が父親に習って平伏した。