Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
A
「はー、たしかにみのり様にそっくりね。
あ、違うわね、この場合はみのり様がそっくりねが正しいわね」
一人冷静に感想を述べたのは野木崎だった。
(さすが主婦は違うなあ)
肝の据わり方が堂に入っている。
心底感心していると、雪姫も袖で口元を隠す。
「くすくすくす。いつの世もわらわの顔を見ると同じ反応をするな。
ほれ、いつまでそうしているつもりだ?」
面を上げるよううながされているというのに、
山波はさらに深々と額を擦りつけた。
「ははー!」
「山波さん……」
少し呆れて声をかけると、芽衣子が顔をあげる。
「ええと……立ったほうがいいみたいよ? お父さん」
父親をつつく芽衣子に、山波が困惑気味に答えた。
「いや、しかし……」
納得いかない様子の山波の肩を碧が軽く叩く。
「山波さん、とりあえずお立ちください。話が進みませんから」
「は、はあ……」
芽衣子の手を借りつつ渋々立ちあがる山波を見て、
涼介は改めて今起こっている事態の重大さを思った。
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