Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
C
「そうだぞ。あれはすごいかき氷なのだ。
だが、わらわにしか効かぬ」
自慢げに語る雪姫に、太一が唇を尖らせた。
「えー、そうなのー。ちぇーつまんないのー」
試してみたかったのだろうか。残念そうに肩を落とす。
「そうだったのか。なんだか、意外すぎというかなんというか……」
涼介も少年と同じ気持ちだったようだ。そこはかとなく落胆した
様子で雪姫を眺めていた。
和やかな雰囲気が出来上がる中、みのりは意を決して本題を切り出す。
「あ、あの雪姫、様はなんで大人になったんですか?」
威厳のようなものを感じてしまったのだろうか。
みのりは無意識に口調を改めていた。
手のひらサイズのときには敬称すらつけず普通に話せていたのに、
大人の姿になった彼女にはできなかった。
(見た目は私とそっくりなのに、存在感が全然違うわ)
それでもみのりは目線を逸らすことなく雪姫の返事を待った。
「ん? なぜとはおかしなことを聞くなぁ、そなたは。
かき氷を食べたからに決まっておる」
きょとんと小首をかしげる雪姫にみのりは脱力した。
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