Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「いや、だから、そういうことを聞きたいんじゃなくてですね……」


 方法を聞きたかったわけではなく、動機が知りたいのだ。

しかしそれを上手く説明することができず、みのりは口を開けたまま

固まる。そんなこちらの気持ちを代弁するかのように紅が呟いた。


「大人になった、理由」

「なぜ今かき氷を食べて元の姿にならなくてはならなかったんですか?」


 涼介が紅の言葉を、よりわかりやすく言葉にする。

気の合っている二人にちくんと胸が痛んだ。

ふいに涼介の視線を感じた。

だがそれは自分にではなく、隣に立つ紅を見ているのだろう。

みのりは俯きたい気持ちを誤魔化すように、わざとはしゃいで見せた。


「そう。それ! 私が聞きたかったのはそういうことです」

「なんだ、そういう意味か。

なぜ今かと聞かれるなら、主らが黄金梅の種を植えたからだな」


 淡々と応える雪姫に野木崎が眉間に皺を寄せ疑問を口にする。


「それってどういうこと?」

「植えたのは確かですが。

植えたらなぜ大人にならなくてはならないんですか?」


 要領を得ない雪姫の真意を探ろうとしているのだろう。

涼介が追究する。雪姫はその言葉を待っていたのか、満面の笑みを

浮かべた。










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