Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





F




「それで次は何をすればいいんですか?」


 みのりが少しだけうんざりしたような声を滲ませる。

だが、そんな彼女のイラつきに臆した様子もなく、雪姫が袖を振る。


「ふふふ。そなたはわらわの子孫の割に、せっかちだな」

「からかわないでください!」

 愉快げに微笑む祖先に向かい、みのりが怒鳴った。


(みのりさん、大丈夫かな?)


 さっきから、なんとなく様子がおかしいように見える。

碧が傍にいないからだろうか。

だが、真剣な話の途中で碧にそんな話題を振るわけにもいかない。

腕を組んでいると、雪姫が表情を改めた。


「すまぬ。すまぬ。そうさな。昔話でも聞かせようか」

「昔……ですか……?」


 雪姫の言葉に涼介は目をしばたたく。


「そう。わらわがこの地へ降りたときの話だ。昔話になっているのだろう?」


 さらりととんでもないことを言われ、目が点になった。


「え! 本当に天から降りてきたんですか?!」


 反射的に叫ぶと、太一が不思議そうに振り向いてくる。


「ばぁちゃんに読んでもらったことがあるよ」


 当然じゃない、とでも言いたげな太一に困惑していると、

雪姫が小さく肩を竦めた。


「伝承されている話とは少し違うがおおむねそうだな」

「はあ……」

 あっさりと肯定され、涼介はさらに困惑した。 










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