Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
H
「そ、そうか。うん……そうなのかもしれないね……」
とりあえず太一へ頷いてみせると、みのりが改めて雪姫に質問を投げかける。
「黄金梅が地球外のものだったとして、なぜ雪姫様はその種を探していたの?」
「あの種は毒そのもの。
それを落としてしまってな。あのときは肝が冷えた」
雪姫の言葉に、またしても全員が言葉を失った。
(肝が冷えたって、おいおい……)
なんでもないことのように言わないでほしい。
仮にも自分たちが守ってきた物のことなのだから。
内心でツッコミを入れていると、野木崎がみんなの言葉を代弁してくれる。
「落としたって……」
野木崎の言に勇気づけられたのか、みのりが雪姫に迫った。
「毒ってどういうことよ!」
涼介は食ってかかるみのりの肩をとっさに押さえ、雪姫に尋ねる。
「毒なんですか?」
改めて尋ねるが、雪姫からの返答はない。
さすがに苛ついていると、碧がするりとみのりの背後に立った。
「お嬢様、落ち着いてください。
僕たちが生きている時点で本来の役目は終えているのではないですか?」
碧の言葉に涼介は息を飲む。
「確かに」
さすが碧さんだ。
涼介は唇を噛み締める。
感心しているのは本当なのに、
少しだけ負けたような気になってしまうのはなぜだろう。
並ぶ二人の様子を見ていたくなくて、涼介はおもむろに視線を逸した。
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