Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





ID




「む……」


 不服げな山波の横で、娘の芽衣子が目を輝かせる。


「そうだったんですかあ!!」

「え? 何なに?」


 恋人の飛田は相変わらず何も聞こえないのか、

芽衣子の様子に瞳を白黒させていた。


「太郎様、すごい」


 紅が呟く。


(この娘って本当に素直な娘だよな)


 本気で感心しているらしい紅の声音に涼介は微笑む。

みのりの傍にいることを邪魔されるのは少し腹も立つが、

みのりが彼女を信頼する理由がわかる気がした。


「ふん……」


 山波が面白くなさげに鼻を鳴らす。

だが、雪姫は構わず嬉しそうな芽衣子に視線を向けた。


「そうだぞ。太郎は黄金梅を守る心優しき獣人たちを守るために

村の住人達との交流を作ったり、共存するために色々しておった」


 夢見るように語る雪姫の姿は恋する乙女のようで、

涼介は軽く目を瞠る。


(これってやっぱり太郎様に惚れてるってことなのか?)


 宇宙人にそういった感情があるのかはよくわからないが、

他に考えようもない。


「本当にご立派な方だったんですね!」


 感激しきった声音で頷く芽衣子を尻目に、涼介はしみじみと頷いた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む