Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
IF
「まあすべての民に受け入れられたわけではなかったがな。
それでも大半の民たちが獣人たちと手を取り合って暮らしておったよ」
雪姫の話に太一が感嘆する。
「すごい! ぼくもいつかばぁちゃんにリオを紹介したいなー」
太一の言葉に涼介は深く同意した。
「本当にそうだね」
太一の祖母にこの事実を話したら、
少しは閉ざされてしまった心を開くことができるだろうか。
(そう簡単にはいかないか……)
悲しげに眉根を寄せていた太一の祖母の顔を思いだし溜め息を吐く。
会話が途切れたのを見計らったように、みのりが雪姫を見た。
「あの、太郎様は
獣人たちとの共存に黄金梅の力を使わなかったんですか?」
みのりの質問に雪姫が重々しく肯定する。
「そうだな。黄金梅の力を使えば簡単に叶ったかもしれん。
だが、太郎はそのために黄金梅の力は使うことはなかったな」
「そんな馬鹿な!」
微笑する雪姫に異を唱えたのは山波だった。
「太郎様は皆のために黄金梅によって力を宿しその力を使われた、と
文書(もんじょ)にも書いてあるぞ!」
怒りを含んだ山波の発言に雪姫が答える。
「皆のためにとは、もちろん獣人も含まれておるぞ。
太郎は獣人を含めた民たちのために力を使ったのだ」
淡々と紡がれた言葉に山波が眉根を寄せる。
「ぐ……」
口惜しげに呻く山波の姿を見つめていると、碧が尋ねる。
「では、太郎様は
どのようにして獣人たちを民たちに認めさせたのですか?」
碧の問いに視線を逸した山波に対し、涼介はなぜか不安になった。
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