Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





II




「言うことを聞かせるのは対話とは違うぞ」


 雪姫が山波の言葉を容赦なく否定する。


「それは……そうですが……」


 信仰対象である人物に言われたからだろう。

胸を張っていた山波がしゅんと縮こまった。それでもまだ納得

しきれていないのかもしれない。何か言いたげに、もごもごと口を

動かしていた。そんな山波の声をかき消すかのように

太一が拳を握り、大きく口を開けた。


「そうだよ。ばぁちゃんも最初は許してくれなかったけど、

お兄ちゃんやおばちゃんが一緒に説得してくれたから許してくれたよ」


 太一が瞳を輝かせ、涼介と野木崎を見る。


「納得してくれたわけじゃないけどね」

「そうね。あれは少し力技ね」


 全幅の信頼を向けている太一の視線に、

涼介と野木崎は苦笑しながら明後日のほうを向いた。


(間に一緒に入ってくれる人がいたら私もお母様と

話ができるかしら?)


 そう考え、ちらりと涼介を見る。そしてすぐに打ち消した。

相手は現当主で梅八家を従えている母親だ。立ち向かえるわけがない。


(やっぱり黄金梅を実らせて願いを叶えるしかないわね)


 みのりが小さく頷いていると、雪姫が麻里を慰めるように囁いた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む