Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
II@
「人は弱き生き物だからな。
それは人型になった獣たちも同じことと言えよう」
「満さん……」
切なげに吐き出された麻里の声に、みのりは目を見張る。
(獣人の長の名前……。確か先生は高松とつながっていたはず。
都は長の勧誘を失敗したってことなのかしら?)
野臥間の家で盗み聞きしていたことを思い出す。二人の会話は
仲違いしていたように感じた。
(でも都を代表っていうよりは
男女の恋愛模様って感じがしたけど……)
麻里と満の間柄はどういうものなのだろうか。
みのりが内心で首をひねっていると、背後から少し高めの声が
聞こえてきた。
「雪姫様お久しゅうございます。
そして皆様初めまして、梅田のみにございます」
「え? 梅田? ってことは碧さんの?」
涼介が目を丸くしてまばたきを繰り返す。みのりは彼の視線を
追うように、振り返った。
サラサラと黒髪を揺らし、顔を上げた女性と目が合う。
二十代くらいだろうか、梅田のみと名乗った女性がニコリと微笑んだ。
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