Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





D




(涼介のタイプってこういう人なんだ)


 慌てたときにポロッとこぼした言葉だ。きっと本音なのだろう。

艶のある黒髪。切れ長の黒い瞳と朱色の小さな唇が、彼女の肌の

白さを際立たせている。太一と同じくらいの背丈なのに、

周囲を流し見る姿は妙な色香を放っていた。


(そういえば紅と髪型も体型もそっくりかも)


 のみを見定めるように見ている紅へ、みのりは顔を向ける。

夕日に照らされた紅のおかっぱ頭がキラキラと赤茶色に

染まっていた。多少紅のほうが小さいようだ。

涼介の好みは小柄な女性だということだろう。

自分とは全く違う見た目に、みのりは泣きたくなった。


(初めから勝ち目なんかなかったってわかったんだから

良かったんだわ)


 涼介への恋心を封印し、早く二人の仲を祝福できるようになろう。

そのためにも黄金梅を実らせなくてはならない。

みのりは、これからの行動に欠かせない人物であろう梅田のみへ

再度目線を戻した。


「はい。兄様が雪姫様を連れてきたときのことを

昨日のことのように覚えております」


 太郎の妹と言った碧と涼介の言葉に、のみが微笑みながら頷く。

だが、彼女の細い指先は手のひらにいる雪姫の頭を優しくなでていた。










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