Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
D
(涼介のタイプってこういう人なんだ)
慌てたときにポロッとこぼした言葉だ。きっと本音なのだろう。
艶のある黒髪。切れ長の黒い瞳と朱色の小さな唇が、彼女の肌の
白さを際立たせている。太一と同じくらいの背丈なのに、
周囲を流し見る姿は妙な色香を放っていた。
(そういえば紅と髪型も体型もそっくりかも)
のみを見定めるように見ている紅へ、みのりは顔を向ける。
夕日に照らされた紅のおかっぱ頭がキラキラと赤茶色に
染まっていた。多少紅のほうが小さいようだ。
涼介の好みは小柄な女性だということだろう。
自分とは全く違う見た目に、みのりは泣きたくなった。
(初めから勝ち目なんかなかったってわかったんだから
良かったんだわ)
涼介への恋心を封印し、早く二人の仲を祝福できるようになろう。
そのためにも黄金梅を実らせなくてはならない。
みのりは、これからの行動に欠かせない人物であろう梅田のみへ
再度目線を戻した。
「はい。兄様が雪姫様を連れてきたときのことを
昨日のことのように覚えております」
太郎の妹と言った碧と涼介の言葉に、のみが微笑みながら頷く。
だが、彼女の細い指先は手のひらにいる雪姫の頭を優しくなでていた。
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