Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
E
「梅田?」
苗字が梅宮ではないことに疑問を抱いたのだろう。
紅が小首をかしげる。その声に、雪姫を見つめていたのみが顔をあげ、
紅をまっすぐ見据えた。
「ええ。従兄弟の元へ嫁いだものですから」
「ええっと? それって昔ってことですか?
それもとんでもなくってことですよね?」
見つめ合う紅とのみの間を割くように、麻里が素っ頓狂な声を
あげる。彼女の言葉を皮切りに、ポカンと口を開け固まっていた
芽衣子と野木崎が騒ぎ出す。
「大変だわ! ホラーだわ!」
「ファンタジーよ。というか、この種を植え始めてからこんなこと
ばっかりよ。実を食べた鳥を追いかけたり、
獣人の人に追いかけられたり変な踊りを踊らされたり」
だんだんと管を撒き始める野木崎を止めるかのように、
飛田が話しを戻した。
「でも、当代ってことは世代交代するってことなんじゃ
ないのかな?」
はにかみながら芽衣子へ話しかける飛田の声音は落ち着いている
ようにも感じる。だが、その手は少し盛り上がり始めた頭上を
なでていた。
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