Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
G
「え? のみさんも黄金梅が関わってるんですか?」
野木崎の質問に山波がゆっくりと頷く。
「ああ、おそらくな。考えても見ろ。ここに初代様がいるんだぞ。
しかも俺たちにしか見えない。つまりは黄金梅絡みってことだ」
「え? でものみさんは見えるみたいですけど?」
得意げに語り出す山波に、麻里がのみへ目線をやる。
それに碧が応えた。
「のみさんは生きている人間ですから見えるのはなんら問題
ありませんよ。継承の儀に黄金梅が使われていると聞いたことが
あります」
「あ、そうなんですか」
ホッとしたように胸へ手を当てる麻里を視界に捉えつつ、
みのりは碧が告げた内容に内心で驚いていた。
(継承方法まで知ってるなんて、さすが碧と言うべきなのかしら……)
次期当主である自分が知らなかった情報をあっさりと公表した
側近へ胡乱気な眼差しを送る。その間にも話は続いていた。
「つまり山波さんが言いたかったのはそういうことなのね」
人差し指を立てる野木崎へ、山波が軽く首を横に振る。
「いいや。そんなことまで俺は知らなかった。けどな、これだけ
へんてこなことが起こるってのは、やっぱりあの梅の木が
あってのことだからな」
「さすが年の功」
聞こえない程度に囁いたつもりだろうが、野木崎の声は周囲に
響いていた。案の定、山波が釘を刺すように呟く。
「聞こえとるぞ」
「アハハハ」
静まり返った中、野木崎の乾いた笑い声だけが木霊した。
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