Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





G




「え? のみさんも黄金梅が関わってるんですか?」


 野木崎の質問に山波がゆっくりと頷く。


「ああ、おそらくな。考えても見ろ。ここに初代様がいるんだぞ。

しかも俺たちにしか見えない。つまりは黄金梅絡みってことだ」

「え? でものみさんは見えるみたいですけど?」


 得意げに語り出す山波に、麻里がのみへ目線をやる。

それに碧が応えた。


「のみさんは生きている人間ですから見えるのはなんら問題

ありませんよ。継承の儀に黄金梅が使われていると聞いたことが

あります」

「あ、そうなんですか」


 ホッとしたように胸へ手を当てる麻里を視界に捉えつつ、

みのりは碧が告げた内容に内心で驚いていた。


(継承方法まで知ってるなんて、さすが碧と言うべきなのかしら……)


 次期当主である自分が知らなかった情報をあっさりと公表した

側近へ胡乱気な眼差しを送る。その間にも話は続いていた。


「つまり山波さんが言いたかったのはそういうことなのね」


 人差し指を立てる野木崎へ、山波が軽く首を横に振る。


「いいや。そんなことまで俺は知らなかった。けどな、これだけ

へんてこなことが起こるってのは、やっぱりあの梅の木が

あってのことだからな」

「さすが年の功」


 聞こえない程度に囁いたつもりだろうが、野木崎の声は周囲に

響いていた。案の定、山波が釘を刺すように呟く。


「聞こえとるぞ」

「アハハハ」


 静まり返った中、野木崎の乾いた笑い声だけが木霊した。










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