Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IB




 山波親子がじゃれ合っているのを尻目に、

野木崎が素っ頓狂な声をあげる。


「6つ? てことは6人で飲むってことよね?

願いごとって複数かなえられるんですか?」

「そうなんですか? すごい!」


 手を叩き喜ぶ麻里を構うことなく涼介がバッサリと否定した。


「それはないんじゃないかな? 確か一つだけのはずだけど」

(そうよ。涼介の言う通りだわ。

だいたい6人が同時期に種を植えていることのほうが異常なのよね)


 元々自分だけが黄金梅を植えているはずだったのだ。

それが蓋を開けてみればこんなにも植えている人がいる。

最初から協力関係にあったならば願いは統一されているかも

しれない。だが、自分たちのように種を植えたことがきっかけで

協力し始めた人たちの願いが同じになるはずもない。

みのりは黙考した。すると、涼介の意見に肩を落とした野木崎と

麻里を慰めるかのようにのみが穏やかな笑みを向ける。

しかし、緩く弧を描いた朱色の唇から吐き出された言葉は

涼介の発言を肯定するものだった。










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