Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
IC
「もちろん願いは1つしかかなえられません。ですので、よくよく
話し合ってお決めください」
「え! 1つしかダメなの……」
のみの言葉に太一がしょんぼりとうなだれる。
そのそばで涼介が考え込むように腕を組んだ。
「話し合い……かあ……」
(みんな梅田のみの言い方に騙されているわ)
古文書には6つの盃という文言はあったが、6人で飲み干せとは
書かれていなかったはずだ。現に、梅田のみも『6つの盃』でと
言っていただけで、6人でとは言っていない。
つまり1人で飲んだって問題ないはずだ。
(全部を解読できたわけじゃなから私の考えが間違っている
かもしれないけど……)
だが、その確率は低いだろう。そもそも種の入手が難しい
黄金梅を植えること自体が困難だ。次期当主である自分ですら
宝物庫に忍び込み、やっとの思いで手に入れることができた代物だ。
それを複数の人間が同じ時期に植えるなどいうのは天文学的な確率
だと言えるだろう。そこまで考えついてみのりはハッと息を飲み込む。
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