Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
IH
「のみ、あのオスじゃなくても獣人はまだいるマロよ」
ミニマム雪姫がのみの掌で意見すると、のみが破顔した。
「そうですね。それでは、お気を付けてお帰りください」
あっさりと頷き芽衣子たちへ一礼するのみを前に、
芽衣子たちは面食らったように頭をさげた。
『は、はあ……どうも……』
バカップルが仲良く異口同音で答えていると、
律子が呆れたようにかぶりを振る。
「もう日も沈むっていうのに……はぁ。わかりましたよ。
一緒に行けばいいんでしょう」
肩を落としつつ、まだ不満げな様子の律子へ麻里が微笑む。
「ありがとうございます。律子さん」
嬉しげに礼を述べる麻里へ律子が向き直った。
「あなたと会ってから、はちゃめちゃよ」
苦笑する律子に麻里が詫びる。
「すみません」
頬を掻く麻里を見て大切なことを思い出した。
「太一君。お母さんに連絡取ってもらえるかな?」
また今日も愛息子の自由を拘束してしまうのだからきちんと謝らなくては。
(心配してるだろうなあ、皆さん)
太一の父親にはまだ挨拶をしたことはないが、
きっと気をもんでいるはずだ。
すべてが終わったらきちんと事情を話しに
いかなくてはならないだろう。
少し気が重いが、勝手に連れ回している以上しかたがない。
「うん。わかった」
太一が無邪気に笑う。
リュックをごそごそとやりだす太一を合図に、碧が口を開いた。
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