Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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 先頭を歩くのみに遅れまいとみのりは黙々と歩き続ける。

オレンジ色に染まっていた空は紺色へと変わり始めていた。


(この時間にこんな道を歩くのは結構ハードね……)


 一応人の行き交いはあるのだろう。

だが舗装されたアスファルトとは違う山道だ。

むき出しになった木の根や小さな石がときおり顔を見せてくる。

それに加え、生い茂った木の葉が微かな光を遮り、歩みを遅く

させていた。それでもみのりは見えづらくなった足元に注意しながら

前進する。


「ねー、まだつかないの?」


 後方から野木崎の悲鳴にも似た愚痴が飛んできた。

心情的には同じ気持ちだが、すでに何度も繰り返される言葉に

みのりはため息をつく。半ば強制的に連れてきたしまったせいだろう。

野木崎のやる気を上げるような励ましをしたほうがいいのかも

しれない。しかし何と言えばいいのだろうか。


(目的地が梅願神社だってことは分かってるけど、

ここがどこなのか全然分からないのに変なことを言って

引き返そうなんて言われたら困るし……)


 考えあぐねている間に、すぐ後ろにいる涼介が野木崎へ言葉を

返していた。










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