Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
@
先頭を歩くのみに遅れまいとみのりは黙々と歩き続ける。
オレンジ色に染まっていた空は紺色へと変わり始めていた。
(この時間にこんな道を歩くのは結構ハードね……)
一応人の行き交いはあるのだろう。
だが舗装されたアスファルトとは違う山道だ。
むき出しになった木の根や小さな石がときおり顔を見せてくる。
それに加え、生い茂った木の葉が微かな光を遮り、歩みを遅く
させていた。それでもみのりは見えづらくなった足元に注意しながら
前進する。
「ねー、まだつかないの?」
後方から野木崎の悲鳴にも似た愚痴が飛んできた。
心情的には同じ気持ちだが、すでに何度も繰り返される言葉に
みのりはため息をつく。半ば強制的に連れてきたしまったせいだろう。
野木崎のやる気を上げるような励ましをしたほうがいいのかも
しれない。しかし何と言えばいいのだろうか。
(目的地が梅願神社だってことは分かってるけど、
ここがどこなのか全然分からないのに変なことを言って
引き返そうなんて言われたら困るし……)
考えあぐねている間に、すぐ後ろにいる涼介が野木崎へ言葉を
返していた。
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