Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
C
「だらしがないマロ。もっときびきび歩かないと
夜になってしまうマロよ!」
いつの間にかのみの手のひらではなく、肩の上に上っていたようだ。
落ちないように彼女の黒髪を掴んでいた。雪姫なりの叱咤激励
だったのかもしれない。しかしながらそれは不発に終わってしまった
ようだ。野木崎がけんもほろろに言い返してくる。
「雪姫様は歩いてないじゃない」
「まったくだ」
山波が雪姫ではなく野木崎の肩を持つ。
(これは2人とも相当体力的にきてるわね)
危ないですからと、のみに回収されてしまった雪姫には八つ当たり
できないと察したのだろうか。野木崎の矛先は麻里へと向かった
みたいだ。
「あとね、麻里さん。大丈夫なわけないでしょう!
この前だって外泊しちゃったし、子供たちにだって詳しく説明して
ないのよ。どこが大丈夫だって言えるのよ」
涼介や太一という壁があっても背後から野木崎の唾が飛んで
きそうだ。今までの積りに積もった不満を一気に吐き出している
のだろう。そんな彼女を必死で宥める麻里の声が聞こえてきた。
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