Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





C




「だらしがないマロ。もっときびきび歩かないと

夜になってしまうマロよ!」


 いつの間にかのみの手のひらではなく、肩の上に上っていたようだ。

落ちないように彼女の黒髪を掴んでいた。雪姫なりの叱咤激励

だったのかもしれない。しかしながらそれは不発に終わってしまった

ようだ。野木崎がけんもほろろに言い返してくる。


「雪姫様は歩いてないじゃない」

「まったくだ」


 山波が雪姫ではなく野木崎の肩を持つ。


(これは2人とも相当体力的にきてるわね)


 危ないですからと、のみに回収されてしまった雪姫には八つ当たり

できないと察したのだろうか。野木崎の矛先は麻里へと向かった

みたいだ。


「あとね、麻里さん。大丈夫なわけないでしょう!

この前だって外泊しちゃったし、子供たちにだって詳しく説明して

ないのよ。どこが大丈夫だって言えるのよ」


 涼介や太一という壁があっても背後から野木崎の唾が飛んで

きそうだ。今までの積りに積もった不満を一気に吐き出している

のだろう。そんな彼女を必死で宥める麻里の声が聞こえてきた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む