Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





E




 碧の問いに答えたのは山波だった。


「うむ。俺としてはまず人間と獣人との住み分けだな。

管理できないなら出ていってほしいくらいだしな」


 ふんぞり返って語る山波の後ろで、涼介はかぶりを振る。


「俺は山波さんとは逆なのかもしれません。

どちらかと言うと、『人間と獣人との共存』がみのりさんと

太一君の願いなので。叶えたいですね」

「ふん」


 正直な考えを告げるも、山波が面白くなさげに鼻を鳴らした。


(やっぱりすぐに理解してもらうのは無理か)


 どうにも統率力というものに欠けている。

兄、雅秋のように人をまとめる力を持つことができたら、

こういった事態を避けることもできただろうに。

密かに唇を噛んでいると、横で太一が口を開いた。


「ぼくはね。ばぁちゃんに黄金梅の花を見せたいんだ」


 無邪気に微笑む太一に心が和む。

彼の願いはどうあっても叶えてあげたい。

決意を新たにしていると、野木崎が頷いてくる。


「私も梅畑君よりの考えだわ。獣人たちに対する差別を

なくしたいと想っているわ」


 語る野木崎に小越も同意した。










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