Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
E
碧の問いに答えたのは山波だった。
「うむ。俺としてはまず人間と獣人との住み分けだな。
管理できないなら出ていってほしいくらいだしな」
ふんぞり返って語る山波の後ろで、涼介はかぶりを振る。
「俺は山波さんとは逆なのかもしれません。
どちらかと言うと、『人間と獣人との共存』がみのりさんと
太一君の願いなので。叶えたいですね」
「ふん」
正直な考えを告げるも、山波が面白くなさげに鼻を鳴らした。
(やっぱりすぐに理解してもらうのは無理か)
どうにも統率力というものに欠けている。
兄、雅秋のように人をまとめる力を持つことができたら、
こういった事態を避けることもできただろうに。
密かに唇を噛んでいると、横で太一が口を開いた。
「ぼくはね。ばぁちゃんに黄金梅の花を見せたいんだ」
無邪気に微笑む太一に心が和む。
彼の願いはどうあっても叶えてあげたい。
決意を新たにしていると、野木崎が頷いてくる。
「私も梅畑君よりの考えだわ。獣人たちに対する差別を
なくしたいと想っているわ」
語る野木崎に小越も同意した。
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