Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
I
(いくら疲れているからって言っていいことと悪いことくらい
区別できないのかしら!)
みのりは一度止めてしまった足を、
腹立ちまぎれに踏み鳴らしながら歩き出す。
(……でも確かに山波さんの言う通りなのよね)
彼の言葉はまさしく図星だった。美都子が黄金梅をなくすなどと
言った暴挙を許すはずがない。それはたとえ当主の座についた後に
実行しようとしたとしても同じことが言えるだろう。
だからこそ美都子たちには内緒で黄金梅を実らせようとしているのだ。
(問題はみんなの願いをどう1つにまとめればいいのかって
ことよね……)
野木崎や山波の反応を見ても、説得は上手くいきそうにない。
みのりが思案に暮れていると、悲し気に呟く太一の声が聞こえてくる。
「ねえ、お兄ちゃん。黄金梅の花は咲かせられないの?」
「そうだね。それは困るよね」
親身になって太一を宥めている涼介がおもむろに話しかけきた。
「みのりさん、俺は選民思想と黄金梅をなくすことは関係ないとは思う。
けど、みのりさんがそう決めたなら俺は君につくよ。
ただ、花だけは咲かせて上げてほしいんだ」
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