Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
一
IE
「君の母親に言われたよ。
俺の兄貴が何か良くないことを企んでいるってね」
涼介からの情報にみのりは目を見張る。
(すでにお母様は市長が獣人の長と手を組んでいると
知っているってこと?)
「だがもうそんなことはどうでもいい。
梅八家だろうと、兄貴だろうとクソ食らえだ。俺は君につく」
(お母様は市長のことを探るために涼介に会いに行ったの?)
みのりは涼介の言葉を聞き流し、黙考した。
(でも滅多に会うことのない当主からそんなこと急に言われたって
信じないわ。逆に不信感を募らせるんじゃないかしら?
お母様がそんな愚策をとるなんて思えないけど……)
何か別の意図があったのだろうか。
みのりは再度確かめるために、もう一度涼介へ尋ねた。
「お母様がそんなことを?」
「ああ。……君、どうしても本家に戻る気はないのかい?」
頷いたあと、しぶしぶというように窺い見てくる。
やっとわかってくれたようだ。みのりはきっぱりと否定した。
「ないわ。戻ったって同じことよ」
「同じじゃないって言ってるんだけどなあ……」
まだ納得できないのだろう。
悪あがきをするようにぐちぐちと呟きながら襟足を撫でた。
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