Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「……ええっと、よくわからないんですけど。でも私は選民思想

なんて持ってませんし、黄金梅をなくすかなくさないかはまた

別の話じゃないんじゃないかなって思うんですけど……」

(やっぱり都は、黄金梅をなくして自治権を撤廃させたいって

ことなのかしら?)


 麻里の言動から考えるにあながち間違っていないように思える。


(黄金梅をなくすと願ってくれるなら、

都が何を企んでいるかなんて関係ないわね)


 これで涼介と麻里は黄金梅をなくすために願ってくれるだろう。

あとは太一だが、涼介を慕っている彼のことだ。

花さえ見せれば、それも問題ないだろう。


(野木崎さんと山波さんが問題よね……)


 どうやって彼らを説得するべきか。

みのりが思考を巡らせていると、野木崎が正論をぶつけてきた。


「別の話なんかじゃないわよ。私だって選民思想なんて持ってないわ。

でも現段階で獣人たちが差別されているのに都の人間が差別

しない保障はないですよね」


 感情に任せて言うのではなく、淡々と語られた言葉にみのりは息を

飲み込んだ。










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