Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「黄金梅に守られているからこそ、差別はあるけど獣人たちは普通に

暮らせているんですよ! 自治権がなくなっちゃったら獣人たちは

モルモットにされるかもしれないじゃない!」

(野木崎さんって長老さん以外にも獣人の知り合いがいるのかしら?)


 徐々に感情的になって行く律子を見て、みのりはそんな疑問が

浮かんだ。彼女の言動は、自分にとっての紅のような存在が

いるように感じられた。だからこそ、語られる内容に熱が

入るのだろう。しかし、それは野木崎だけではないようだ。

“モルモット”と言う単語に太一が反応した。


「モルモット! リオが実験動物にされちゃうの?

そんなのヤダよ!」

(そういえば太一君ってムササビの子供と仲が良さそうだったものね)


 友達に危険が迫りそうだと知ればそれを阻止したくなるのは

当然のことだ。これで太一は黄金梅をなくそうとしている

自分ではなく野木崎の意見に同調するだろう。


(もう黄金梅までは目前だって言うのに……)


 最後にきて難易度が一気にあがった気がする。

打開策がまったく浮かんでこない状況に、みのりは深く

ため息をついた。そんなこちらをあざ笑うかのように山波が

鼻を鳴らす。


「ふん。そもそもいなくなればいいんだから黄梅なんか

開かれてしまったほうがいいかもしれないな!」


 忌々し気に語る山波の後を、若干声を上擦らせながら麻里が続く。


「と、都はそんなことしませんよ。むしろ観光業の方面で

活躍してもらえると思うし、そうなるように努力すればいいんです!」

「何でそんなこと言い切れるのよ! 黄梅の中でだって獣人達と

関係しているってわかったら白い目で見られるのよ!」


 麻里の話は野木崎にとって安心できるものではなかったようだ。

むしろ逆効果だったらしい。

目くじらを立て、麻里へ詰め寄っていた。










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