Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
@
辺りはすっかり暗くなってしまっていた。ところどころに防犯灯が
設置されているため、なんとかみんなの表情を見ることができる。
しかし少しでも離れてしまえば、それも難しいだろう。
みのりは興味深気に周りを見回している野木崎や麻里たちを
眺めながら、静かにため息を吐いた。
(まさかここに連れて来られるとは思わなかったわ)
のみが梅願神社へ案内すると言ったとき、てっきり本殿の宝物庫へ
連れて行かれると思っていた。それがまさかひと握りの人間しか
入ることが許されていない梅の木の群生地だったとは。正直考えても
いなかった。
「ええっと、
どこにもそれらしい物は見当たらない感じなんですが……」
盃に関わっていそうな物を探しているのだろう。
涼介が生い茂った梅の葉を掻い潜るようにキョロキョロと見渡して
いる。その近くで野木崎が目を丸くしながら昼白色の光に照らされて
いる青緑色の葉に触れた。
「もしかしてこれ全部梅の木?」
「そうみたいですね」
探し求めているものは中々見つからないようだ。涼介が律子の
言葉を適当にあしらっている。
そのそばで太一が目を輝かせ、はしゃぎ出した。
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