Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





B




「そうだったんですか! すごい!」


 麻里が絶賛してくる。みのりは人の褌(ふんどし)で相撲を取って

いるような気分になり、肩を竦めて見せた。


「と言っても私たちは指示をするだけですけどね」


 剪定には適切な時期がある。それを見誤ればせっかくの剪定も無駄に

なってしまう。数万本以上植えられている梅の木の管理をするには、

それなりの技術や人数が必要だ。それらを指示しているのが梅宮や

分家の一族たちなのである。そのことを伝えようとする前に、山波が

声高に話に割り込んできた。


「手入れをしているのは俺たち守る会のメンバーだ」

「ええ! そうだったんですか!」


 突然の山波の告白に、野木崎が目を大きく見開き

パチパチとまばたきを繰り返す。


「おじちゃん、すごい人だったんだねー」


 手を叩いて喜ぶ太一に、山波が満足気に頷いた。


「うむ。無論、プロの植木屋について手伝いをする程度ではあるがな」

「昔からある組織だとは聞いてはいたけど、守る会ってお年寄りが

集まるだけの組織じゃなかったんですね」


 律子が感心した様子でしみじみと呟く。山波がその言葉に激昂した。










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