Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
B
「そうだったんですか! すごい!」
麻里が絶賛してくる。みのりは人の褌(ふんどし)で相撲を取って
いるような気分になり、肩を竦めて見せた。
「と言っても私たちは指示をするだけですけどね」
剪定には適切な時期がある。それを見誤ればせっかくの剪定も無駄に
なってしまう。数万本以上植えられている梅の木の管理をするには、
それなりの技術や人数が必要だ。それらを指示しているのが梅宮や
分家の一族たちなのである。そのことを伝えようとする前に、山波が
声高に話に割り込んできた。
「手入れをしているのは俺たち守る会のメンバーだ」
「ええ! そうだったんですか!」
突然の山波の告白に、野木崎が目を大きく見開き
パチパチとまばたきを繰り返す。
「おじちゃん、すごい人だったんだねー」
手を叩いて喜ぶ太一に、山波が満足気に頷いた。
「うむ。無論、プロの植木屋について手伝いをする程度ではあるがな」
「昔からある組織だとは聞いてはいたけど、守る会ってお年寄りが
集まるだけの組織じゃなかったんですね」
律子が感心した様子でしみじみと呟く。山波がその言葉に激昂した。
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