Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IA
「ぜーはーぜーはー、ちょっとなんでみんなそんなに元気なわけ」
野木崎が息も絶え絶えに愚痴をこぼす。膝をつきそうな勢いの彼女の
元へ麻里がそばへ寄り、握り拳を作る。
「ガッツですよ! 律子さん!」
(野木崎さんも無理しないで梅田のみみたく歩いてくれば良かったのに)
そうすればこれほど疲労困憊することはなかっただろう。そんなことを
考えていると、息一つ乱れることなく到着したのみがニコリと笑みを
深くした。
「人が触れることをためらう場所だからこそ、
宝を隠すのにはちょうどいいのですよ」
「なるほど。たしかに一理ありますね」
感心するように頷く碧の言葉に、涼介がさらに祠へ近づく。
「じゃあ、やっぱりこの中に……」
ゴクリと唾を飲み込みみのりが祠をじっと見つめていると、
のみがあっさりと観音扉を開いてしまう。音もなくスムーズに開かれた
扉の奥を凝視する。防犯灯がスポットライトのように照らす祠の中には、
朱色の盃が6段重なっており、その最上位には同色の銚子が置かれていた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|