Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IG




(本当、人って見かけによらないわよね)


 妙な感心を抱きながら彼を見ると、涼介はどこか遠くへ視線を

向けていた。


「俺にも守りたいものができたからね」


 誰かに思いを馳せているような涼介の柔らかな眼差しに、

みのりは少しだけうらやましく思った。


「へえ、守りたいもの、ね……」


 自分にもいつかそういう人が現れてくれるのだろうか。

ありのままの自分を認めてくれる存在が。みのりがじっと涼介を

見つめたままでいると、ゆっくりと青年が顔を戻す。

優しく微笑む涼介に、みのりは顔を熱くした。


(なんで微笑まれたくらいでこんなドキドキするのよ)


 手で風を作りながら熱を冷ますが、涼介はこちらの動揺など

気づいてもいないようだ。

話しにくそうに指先で頬をひっかきながら口を開く。


「さっき君の母親と話した時に思ったんだけど。

……似てるんだよ。俺と君ってさ」


 青年の突拍子もない発言にみのり目を丸くした。


「似てる? どこが?」

「境遇が。

まあ、俺のほうが君よりよっぽど孤独だったかもしれないけど」


 一般の家庭とは少し違うかもしれないが、市長とはちゃんと

兄弟に見えた。それなのに何を言っているのだろう。

みのりは、眉間にしわを寄せた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む