Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IB
(祠の中に黄金梅に関係している盃が入っていたなんて……)
実際に中身を見るまで半信半疑だったのだ。古文書や伝承でしか
知らなかったモノが目の前に存在している。
(案外小さいのね。もっと大きな物を想像していたわ)
みのりが光沢のある盃から目が離せなくなっていると、
誰かの息を飲む音が聞こえてきた。
「盃……!」
「あれが盃なの? おもちゃの塔みたいだね」
掠れた麻里の声に太一が続く。少年のこぼした感想にみのりが内心で
頷いていると、涼介が苦笑しながら頷いた。
「そうだね。大きさが違うんだね」
「ぜーはー、ほ、本当だわ。綺麗に積み重なっている」
膝に手を置き呼吸を整えていた野木崎が顔を上げ、盃を眺めている。
山波などは黙り込んだまま、腕を組みじっと盃を見つめていた。
誰一人として触れようとせずにその場へ佇む中、
おもむろに涼介が切り出した。
「みのりさん、取ってみたらいいんじゃないかな?」
「え、でも……」
みのりは涼介からの提案にためらった。艶やかに輝く盃においそれと
触れてはいけないような気がしたからだ。
みのりは確認するようにのみを見た。
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