Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IB




(祠の中に黄金梅に関係している盃が入っていたなんて……)


 実際に中身を見るまで半信半疑だったのだ。古文書や伝承でしか

知らなかったモノが目の前に存在している。


(案外小さいのね。もっと大きな物を想像していたわ)


 みのりが光沢のある盃から目が離せなくなっていると、

誰かの息を飲む音が聞こえてきた。


「盃……!」

「あれが盃なの? おもちゃの塔みたいだね」


 掠れた麻里の声に太一が続く。少年のこぼした感想にみのりが内心で

頷いていると、涼介が苦笑しながら頷いた。


「そうだね。大きさが違うんだね」

「ぜーはー、ほ、本当だわ。綺麗に積み重なっている」


 膝に手を置き呼吸を整えていた野木崎が顔を上げ、盃を眺めている。

山波などは黙り込んだまま、腕を組みじっと盃を見つめていた。

誰一人として触れようとせずにその場へ佇む中、

おもむろに涼介が切り出した。


「みのりさん、取ってみたらいいんじゃないかな?」

「え、でも……」


 みのりは涼介からの提案にためらった。艶やかに輝く盃においそれと

触れてはいけないような気がしたからだ。

みのりは確認するようにのみを見た。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む