Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「では私が、一番上にあるお銚子を取りましたら、

皆様それぞれ盃を手にしてください」


 のみが淡々とした表情で説明する。


「わかりました」


 素直に了承すると、みのりが一歩前へ出た。


「それじゃあ、私から取りますね。碧と紅は控えていて」

「承りました」


 恭しく一礼する碧に倣い、紅も無言で首肯する。

順々に盃を手にして輪になると、

輪の中心に立ったのみが周りを見回した。


「皆様手に取られましたね? それでは雪姫様。お願いいたします」


 重々しく一礼するのみに、雪姫がこくりと頷く。


「わかったマロ」


 承知した雪姫がのみの手から銚子の蓋へ飛び乗った。


「何が始まるんだろうね」


 蓋の上で中腰になっている雪姫を目にして、

太一が興味深げな声で尋ねる。


「さあな、俺にはわからん」


 隣にいた山波がぶっきらぼうに返すのを聞いていると、

雪姫がゆっくりと舞い始めた。

月明かりに照らされたその舞は、

冬に降る粉雪のように淡く清らかな煌めきに満ちていた。










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