Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IC
「では私が、一番上にあるお銚子を取りましたら、
皆様それぞれ盃を手にしてください」
のみが淡々とした表情で説明する。
「わかりました」
素直に了承すると、みのりが一歩前へ出た。
「それじゃあ、私から取りますね。碧と紅は控えていて」
「承りました」
恭しく一礼する碧に倣い、紅も無言で首肯する。
順々に盃を手にして輪になると、
輪の中心に立ったのみが周りを見回した。
「皆様手に取られましたね? それでは雪姫様。お願いいたします」
重々しく一礼するのみに、雪姫がこくりと頷く。
「わかったマロ」
承知した雪姫がのみの手から銚子の蓋へ飛び乗った。
「何が始まるんだろうね」
蓋の上で中腰になっている雪姫を目にして、
太一が興味深げな声で尋ねる。
「さあな、俺にはわからん」
隣にいた山波がぶっきらぼうに返すのを聞いていると、
雪姫がゆっくりと舞い始めた。
月明かりに照らされたその舞は、
冬に降る粉雪のように淡く清らかな煌めきに満ちていた。
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