Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「綺麗ねー」

「そうですねー」


 野木崎と小越がうっとりとした吐息を漏らすと、

太一も興奮しきったような声をあげた。


「うわぁー。雪姫様すごーい」

「本当に綺麗だなあ……」


 ぼんやりと灯るろうそくの炎にも見える舞に感嘆していると、

みのりが半ば呆然と呟くのが耳に入る。


「この舞は……」

「知ってるのかい?」


 新年や豊作の舞でも見たことはなかったはずだが。

驚いて尋ねると、

みのりが緊張した面持ちで雪姫を見つめたまま首肯した。


「ええ。代々の当主から受け継がれている舞よ。そろそろ終わるわ」


 みのりの言葉に促され、涼介は今一度雪姫へ視線を移す。


「本当だ」


 雪姫がゆるゆると腰を降ろし、ぴたりと止まる。

落ちた袂から微かな衣擦れの音がして、舞の終わりを告げた。

だが、詰めていた息を吐き出そうとした瞬間、

雪姫を中心にして突如眩い光が放たれた。










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