Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IF




「目が開けられません!」


 小越の叫びが聞こえる。


「なんだってんだ、こんちくしょう!」


 薄目を開いて太一を確認すると、両腕で目を覆っているのが目に入る。

 腕で両目を覆うようにしている小越を尻目に、山波が悪態を吐いた。

 それほどに眩しい。

 一体いつまで続くのだろう。

これではみんなの目が潰れてしまうかもしれない。

何より太一はまだ幼いのだ。


「太一君!」


 急いで太一を引き寄せようとしていると、

中央でのんびりとした声が聞こえてきた。


「雪姫様、大変お美しゅうございました」


 ころころと鈴の音のように笑うのはのみだろう。

彼女の声音は酷く満足げで、涼介は少々むっとする。


(こんなことになるんだったら先に説明しておいてくれよ!)


 碧と紅がみのりから離れている今、彼女のフォローができるのは

自分だけなのだから。

そこまで思って、はたと気がついた。


(あれ? なんで碧さんと紅さんがかばいにこないんだ?)


 もしみのりに害が及んでいるのであれば、

2人ともすぐに駆けつけてくるはずだ。

それなのに、今は2人とも3歩ほど後方で事態を

見守っているだけである。


(もしかして、俺が大げさなだけ、とか……?)


 なんだか急に気恥ずかしくなってきた。


(どうやって誤魔化そう……)


 動くに動けず固まっていると、後方から雪姫がのみに答えた。


「久しぶりだったマロ、疲れたマロ」


 雪姫が小さく吐息する。

それが合図だったのだろうか。

眩いばかりの光が徐々に収束していくのがわかった。










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