Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IF
「目が開けられません!」
小越の叫びが聞こえる。
「なんだってんだ、こんちくしょう!」
薄目を開いて太一を確認すると、両腕で目を覆っているのが目に入る。
腕で両目を覆うようにしている小越を尻目に、山波が悪態を吐いた。
それほどに眩しい。
一体いつまで続くのだろう。
これではみんなの目が潰れてしまうかもしれない。
何より太一はまだ幼いのだ。
「太一君!」
急いで太一を引き寄せようとしていると、
中央でのんびりとした声が聞こえてきた。
「雪姫様、大変お美しゅうございました」
ころころと鈴の音のように笑うのはのみだろう。
彼女の声音は酷く満足げで、涼介は少々むっとする。
(こんなことになるんだったら先に説明しておいてくれよ!)
碧と紅がみのりから離れている今、彼女のフォローができるのは
自分だけなのだから。
そこまで思って、はたと気がついた。
(あれ? なんで碧さんと紅さんがかばいにこないんだ?)
もしみのりに害が及んでいるのであれば、
2人ともすぐに駆けつけてくるはずだ。
それなのに、今は2人とも3歩ほど後方で事態を
見守っているだけである。
(もしかして、俺が大げさなだけ、とか……?)
なんだか急に気恥ずかしくなってきた。
(どうやって誤魔化そう……)
動くに動けず固まっていると、後方から雪姫がのみに答えた。
「久しぶりだったマロ、疲れたマロ」
雪姫が小さく吐息する。
それが合図だったのだろうか。
眩いばかりの光が徐々に収束していくのがわかった。
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