Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IG
「お疲れ様でございました。
しばらくはのみの肩でお休みくださいませ」
のみが雪姫を労わるようにそっと手を前へ出す。
雪姫は彼女の言葉に素直に従い、銚子からのみの手に飛び乗った。
そして腕を伝い肩へ移動すると、すぐさますとんと腰を下ろす。
足を揺らしながら楽しげに周囲を眺めている雪姫の姿にみのりは
内心でため息をついた。
光のせいでチカチカする瞳を暗闇に慣らすため、眉間に皺を寄せる。
(あんな姿を見たら威厳も何もないわね……)
さっき目にした舞は、幻だったのかもしれない。手にした盃を
何とはなしに両手で回していると、野木崎の不平が聞こえてきた。
「ちょっとなんでのみさんは平然としているのよ。
眩しくなかったのかしら?」
「どうなんでしょう……」
やはり野木崎の声は内緒話にはむいていないようだ。麻里へだけ
伝えるつもりだったのであろう声は、首をかしげながら応える
麻里の声とともにすべて耳に入ってきた。
(一度野木崎さんたちに言ったほうがいいのかしら?)
別に聞きたくて聞いているわけではない。だが、こうも頻繁に
聞いてしまうと罪悪感を覚えてしまう。どうしたものかと考えて
いると、輪の中心にいるのみのくすりと笑う声が響いた。
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