Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IG




「お疲れ様でございました。

しばらくはのみの肩でお休みくださいませ」


 のみが雪姫を労わるようにそっと手を前へ出す。

雪姫は彼女の言葉に素直に従い、銚子からのみの手に飛び乗った。

そして腕を伝い肩へ移動すると、すぐさますとんと腰を下ろす。

足を揺らしながら楽しげに周囲を眺めている雪姫の姿にみのりは

内心でため息をついた。

光のせいでチカチカする瞳を暗闇に慣らすため、眉間に皺を寄せる。


(あんな姿を見たら威厳も何もないわね……)


 さっき目にした舞は、幻だったのかもしれない。手にした盃を

何とはなしに両手で回していると、野木崎の不平が聞こえてきた。


「ちょっとなんでのみさんは平然としているのよ。

眩しくなかったのかしら?」

「どうなんでしょう……」


 やはり野木崎の声は内緒話にはむいていないようだ。麻里へだけ

伝えるつもりだったのであろう声は、首をかしげながら応える

麻里の声とともにすべて耳に入ってきた。


(一度野木崎さんたちに言ったほうがいいのかしら?)


 別に聞きたくて聞いているわけではない。だが、こうも頻繁に

聞いてしまうと罪悪感を覚えてしまう。どうしたものかと考えて

いると、輪の中心にいるのみのくすりと笑う声が響いた。










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