Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「何それ。そういう自慢だったら私に敵うはずないわ。

それにあんたはお兄さんに愛されてるじゃない」


 呆れた。自分がいかに不幸だったかを言いたいだけなのか。

一瞬でも期待してしまった自分がバカみたいだ。

冷めた視線を向けたのに彼も気がついたのだろう。肩を竦めて見せ、

言い訳をしてきた。


「まあ、愛されてないわけじゃないと思うけどね。

でも、俺はあの家では浮いた存在なんだよ」


 てっきり愛されてないとでも言うのかと思えば、予想に反して

肯定してきた。涼介は自身が愛されているときちんと認識している

らしい。

みのりは内心で驚きを隠したまま、あと続いた言葉に首をひねった。


「浮いた存在?」

「……少しどっかに座ろうか。

ちょっと長くなるけどこの際だから話すよ、俺のこと」


 涼介は気分を入れ替えるかのようにため息を吐き出す。

そして急に辺りを見渡すや、人が座れるくらいの石の上に座り込んだ。


「え? えぇ……」


 みのりはためらいながらも、

青年のあとへ続き近くにあった石に腰をおろした。










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