Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIB




 涼介は隣に立つみのりの様子をそっと窺う。

彼女は相変わらず、真っ直ぐな瞳で前方を見つめている。

どうやら迷いはないようだ。


(それなら、俺の願いもただ一つだ)


 決意して視線を戻す。

前方ではまだのみと雪姫の会話が続いていた。


「ふふふ。

それだけ雪姫様の舞が素晴らしかったということかもしれませんね。

それでは皆様願いを念じながら盃に注いだ果汁を飲み干して下さい」


 話を切って、のみが周囲を見回す。


「願いを……」


 念じながらこれを飲むだけで願いが叶うというのか。


(かなりとんでもないものだよな、それって)


 どの程度の願いを叶えるのかはわからないが。

 もし本当になんでも叶うとしたら、

かなり危険なものだとも言えるのではないだろうか。


(よく今まで悪用されずにきたもんだよな)


 祖先たちの苦労が偲ばれる。

こっそり溜め息を吐いていると、隣でみのりが声をあげた。


「わかりました。皆さんよろしくお願いいたします」


 みのりが個々を見回していく。


「ああ」


 涼介は彼女の目を見つめ返し、即座に頷いた。










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