Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IID




「ねぇ、これいつまで願ってないといけないの?」


 野木崎の言葉に小越が盃を口から離す。


「さあ……。何も起こりませんね」


 首を傾げる小越に対し、太一が口を尖らせる。


「もうぼく全部飲んじゃったよ」


 盃を振って見せてくる太一を見て、涼介は頬を掻くほかなかった。


「失敗、したってこと……かな……」


 認めたくはないが、この状況。失敗以外の何物でもない気がした。


(まいったな……)


 これではなんの意味もない。どうするべきか。


(他に打つ手は……)


 唇を噛み締めつつ考えるその先で、

山波が輪の中から一人首を背けるのが見えた。

なんとなく、嫌な予感がする。

胸騒ぎを覚えみのりへ視線を向けると、みのりがのみを見据えた。


「どういうことですか? のみさん」


 落ちついた声音ではあるが、少し苛立っているようだ。

のみが本当のことを話していないとでも思ったのだろうか。


「失敗」

「紅の言う通りのようですね……」


 後方で紅と碧が呟くなり、みのりの手に力が入った。


(ショック、だよな……)


 ぐっと拳を作っている少女の横顔を眺めていると、心が痛んだ。

周りを眺めると、一同も同じように悔しげな表情を浮かべている。


(そりゃそうだよな)


   ここまで来て、と思うのはみんなも同じだろう。


(もう一度、話し合うしかないか)


 一人頷いた時、のみが厳かな口調でみのりに応えた。










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