Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
一
A
「みのりさん!」
「な、なんであんたがここに? ていうかなんでみんなも一緒に
いるのよ?」
怒号にも近い涼介の声に怯みながらも、なんとか声を出す。
この状況を説明してくれる人を探すも、皆、彼の剣幕さに戸惑いを
隠せていない様子だった。そんな中、家主だからだろうか。
野臥間が優しげな顔で声をかけてきた。
「みのり様、ここでしたか」
これ幸いと、みのりは野臥間に近づこうとする。しかし涼介が
それを阻んだ。
「来るんだ!」
問答無用にがしっと腕を掴まれ、どこかへ連れて行こうとする。
暴挙と言っても過言ではないだろう。涼介らしからぬ行動に、
みのりは戸惑いを隠せなかった。
「え、ちょっと何するのよ! 痛っ、離して!」
「お嬢さま!」
抵抗する声に紅がすぐさま反応する。彼女が来てくれれば、
すぐに解放されるだろう。しかし、涼介は未だ拘束を緩めようと
しない。それどころか無理やりにでも連れて行こうとする。
みのりは、梃子でも動くつもりはないと言わんばかりに腰を落とした。
to be continued...
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