Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
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腰をおろした涼介は深い溜め息を吐いた。
「どこから話したらいいのかわかんないんだけどさ」
頭に手をやりながら言葉を紡ぐと、沈黙が辺りを満たしていく。
みのりが黙っているのは、
おそらくちゃんと聞いてくれるつもりがあるからだろう。
それなら、自分もやはりきちんと向き合わなくてはならない。
涼介は覚悟を決め口を開く。
「俺は両親とほとんど一緒にいたことがないんだ。
俺を育ててくれたのは前半11歳までは祖父母、
その後は長男の雅秋兄さんだから」
話を切ると、え、とみのりが驚いたような声をあげた。
「だってあなたのご両親ってまだご存命よね?」
みのりの言葉が鈍く胸に突き刺さる。
もうそういうものなのだ、と諦めていたはずの事実を指摘され、
今更のように傷ついているとは。
(俺、ずっと辛かったんだな……)
涼介は、胸の痛みを堪えつつ、ああ、と頷いた。
「けど、ずっと鎌倉の別邸に住んでるんだ。
まあ、新年に一度会うのがいいとこでさ」
「そうだったの。でもなぜ?
その、なぜご両親とほとんど一緒にいなかったの?」
みのりの質問に涼介は微苦笑する。
やっぱりみのりはなんだかんだ愛されて育っているのだと感じ、
羨ましく思った。
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